施設警備員として夜勤で働くときの仕事内容を紹介します。メリット・デメリットや向いている人の特徴もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
施設警備員の夜勤は、オフィスビルや商業施設、工場、倉庫などで、人や設備が少なくなる深夜時間帯に行う警備業務です。昼間とは異なり、入館者の対応や荷受けはほとんど発生せず、主に建物内外の巡回、入退室管理、防犯カメラのモニター監視、非常階段や機械室の施錠確認、火災や警報装置の異常チェックなどを担当します。
施設内に設置されたBAS(ビルオートメーションシステム)や電気錠、非常用発電機などの設備異常を早期に発見して報告することも重要な業務です。場合によってはサーバールームの温度監視や、ガス漏れ警報器の点検、エレベーターの非常停止装置の確認など、専門的な知識を要する業務が含まれることもあります。そのため、機械設備の基本的な動作原理を理解し、異音や振動、温度変化など微細な変化を察知できるスキルが求められます。
施設警備員の夜勤勤務では、22時から翌5時までの労働に対して基礎賃金の25%以上の深夜割増手当が法律で定められています。さらに多くの警備会社では、警備業務検定などの資格手当や、連続勤務日数に応じた連勤手当、休日手当などが加算されるため、日勤と比較して月収ベースで数万円から十数万円の差が生じることが珍しくありません。
また、夜勤帯は交通費の深夜割増が適用されるケースや、タクシー代補助が出る場合もあり、実質的な手取りがさらに増える場合があります。仮に現場の業務が早めに終了し、実働時間が短くなったとしても、契約上の勤務時間分は満額支給されるケースが多く、「短時間でしっかり稼げる」と感じる方も少なくありません。
このように、深夜割増手当や各種手当を組み合わせることで、高収入を効率的に得られる点が夜勤ならではの大きな魅力です。
深夜の施設内は日中に比べ大幅に人通りが減り、エントランスホールやエレベーターホール、共用部の騒音がなくなるため、巡回やモニター監視などの業務において高い集中力を保ちやすくなります。特に防犯カメラの映像モニタリングでは、来訪者や従業員の動きが少ないことで、わずかな不審挙動や異常信号を見逃しにくくなり、早期発見につながるでしょう。
また、静かな環境では無線や内線電話での連絡がクリアに行えるため、緊急時の情報共有もスムーズです。少人数体制での勤務が一般的で、チーム全員と連携しながら落ち着いて業務を遂行できる点も、未経験者や機械監視に不慣れな方にとっては大きなメリットとなります。
夜勤で働くことにより、昼間の時間を丸ごと自由に使える点も大きな魅力です。役所の手続きや病院の受診、銀行業務など、平日日中にしか対応できない用事を仕事の合間に済ませられるため、わざわざ有給休暇を消化する必要がありません。
また、趣味に没頭したり、語学学習や資格取得の勉強、家事や育児に費やしたり、副業に取り組むなど、自身のライフスタイルに合わせて時間を有効活用できます。日勤のように業務終了後に疲労感が残りづらく、生活リズムさえ安定させられれば、仕事とプライベートの両立が図りやすい働き方といえるでしょう。
深夜帯の施設警備は、日勤帯に比べて担当者数が少なく、現場によっては1名体制や2名ペアでの巡回・監視が中心となります。関わる人の数が限られるため、無駄なコミュニケーションが減り、チーム内での情報共有や役割分担が明確になりやすい環境です。昼間の繁忙期のように多くの部門や業者との調整に時間を取られることが少なく、必要な報告・確認を効率良く行うことで、自分の業務に集中しやすくなります。
また、少人数体制だからこそ、互いに声を掛け合いながら緊急時に迅速に連携できる信頼関係が構築されやすく、安心感を持って業務に臨むことができます。
夜間の施設警備は来訪者や従業員がほとんどいないため、長時間にわたって孤独な状況が続きやすくなります。敷地内を巡回するときは見慣れない暗がりや機械室の裏手を歩くこともあり、不審音や機器の異常音に常に注意を払う必要があります。そのため、精神的な緊張感が持続しやすく、慣れるまでに時間がかかる方も少なくありません。
また、仮眠時間が設けられていても、緊急アラームや異常発生時にはすぐに起床して対応しなければならず、睡眠の質が低下しやすいため、孤独感と合わせて心身の負担が大きくなることがあります。
夜勤中に火災報知器やガス漏れ警報、非常ボタンの押下などのアラームが発生した場合、施設警備員は初動対応として現場確認を行い、状況を判定して関係機関への通報や避難誘導、設備停止などの措置を迅速に実施しなければなりません。昼間と異なりサポート要員が少ない時間帯であるため、自らの判断で適切な対応を取るプレッシャーが大きく、初動の誤りが大規模な事故につながる恐れもあるため、経験や研修で培った知識の正確な運用が求められます。
また、報告書作成や再発防止策の検討も夜勤明けに行う場合があり、精神的にも体力的にも大きな負担となります。
施設内には火災報知器や非常口開放センサー、空調の異常検知システム、電気錠の障害監視など多数のアラーム機器が設置されています。深夜帯は予期せぬ機器トラブルや誤作動によるアラームが発生しやすく、頻繁に現場点検を求められるケースも。
機械室や屋上タンク周り、機械室の非常停止ボタンの誤操作など、現場ごとにトラブル原因が異なるため、設備ごとのマニュアルを把握し瞬時に対応策を判断する必要があります。アラーム対応の度に緊張感が高まり、連続した対応が夜勤全体の疲労感を増大させる要因になるでしょう。
施設警備の夜勤は、オフィスビルの閑散フロアでは主に巡回とカメラ監視が中心となる一方、工場や物流倉庫など稼働中の現場では機械の稼働状況確認や出入庫管理が頻繁に発生し、業務負荷に大きな差が生じます。稼働音や警報装置の監視に加え、荷役作業の立会いや機械停止時の緊急対応など多岐にわたる業務が求められ、現場固有のリスクや工程を理解していないと効率よく業務を遂行できません。
夜勤を続けるうえでは、自身が担当する施設の特性や機器配置、作業フローをしっかり把握し、適切な準備と情報共有が不可欠です。
夜勤の施設警備では、夜型の生活リズムに抵抗がなく、静かな環境で集中して業務を行うことが得意な方が適しています。機械設備の動作状態や警報システムの異常を注意深く観察できる慎重さや、緊急時に落ち着いて初動対応ができる冷静さが求められます。
また、昼間に自由時間を確保したい方や、副業や育児、学業などと両立しながら働きたい方にとっても、昼間を有効活用できるメリットがあります。少人数でのチームワークを重視しながら責任を持って業務を遂行できる方は、夜勤警備に向いていると言えるでしょう。
一方で、朝型の生活リズムが体質的に合っている方や、暗い場所や人の少ない環境での業務に強い不安を感じる方は、夜勤を続けることが難しいかもしれません。また、機械トラブルやアラーム対応が頻発する環境での緊張感にストレスを感じやすい方、単調な巡回業務で眠気を覚えやすい方にも不向きです。
さらに、気温の低下や湿気による体調不良が起こりやすい方、睡眠の質が乱れやすい方は、深夜帯の生活リズムを維持できず健康を損なうリスクがあります。
施設警備員の夜勤は、深夜割増手当による収入アップや静かな環境での集中業務、昼間の自由時間確保など、多くのメリットがあります。しかし、孤独感や緊張感の持続、緊急対応のプレッシャー、誤作動アラームへの迅速対応など、夜間特有の大変さも伴います。夜勤を検討する際には、自身の生活リズムや性格、体力面を見極め、応募前にシフト形態や仮眠・休憩時間の取り扱い、研修内容をしっかり確認することが重要です。
自身の適性と生活スタイルに合った施設を選ぶことで、無理なく高収入を得ながら、仕事とプライベートの両立も可能になります。夜勤に興味がある方は、まずは求人情報をチェックし、面接時に詳細を確認してみてください。