施設警備員を目指すなら、ぜひ取得しておきたいのが「施設警備業務検定」です。この記事では、資格を取得するメリットをはじめ、試験の内容や合格率などをわかりやすく紹介します。
施設警備業務検定は、警備業法で定められた国家資格「警備業務検定」のひとつです。1級と2級の2種類があり、2級は受験資格がないため、警備の仕事が未経験の方でも受けられます。一方、1級を受験するには、2級を取得したうえで1年以上の実務経験が必要です。
資格を取得するには、警備業務に関する基本的な知識をはじめ、警備業法や憲法などの関連法令、事故発生時に適切な対応を行うための技能など、幅広い内容を理解しておく必要があります。
施設警備2級は警備未経験でも受験できますが、1級は2級の取得に加えて1年以上の実務経験が必要です。
1級の試験では、より高度な水準で業務をこなす力があるかどうかに加え、業務管理や警備管理といった管理者・指揮者としてのスキルも問われます。また、1級を取得するには、保安業務や警備業務などに関する幅広く深い知識が求められます。
担当できる業務内容にも違いがあり、1級の有資格者は空港や防護対象特定核燃料物質取扱施設など、特定の現場で警備業務を行うことが可能です。こうした現場では1級の有資格者を1名以上配置することが義務付けられているため、施設警備員としてキャリアアップや昇給を目指す方には、1級の取得をおすすめします。
施設警備の仕事をするうえで、資格の取得は必須ではありません。
ただ、資格を持っていれば警備業務に関する専門知識と技能を身につけている証明になり、資格手当を受け取れる場合もあります。そのため、待遇の向上や年収アップを期待できるでしょう。
また、法律で有資格者の配置が義務付けられている現場もあるため、資格を持たない人よりも良い条件で転職しやすい点も大きなメリットです。業務の幅を広げたい方やキャリアアップを目指したい方には、施設警備業務検定2級への挑戦をおすすめします。
会社によっては資格取得支援制度を設けている場合もあるため、就職・転職先を探す際には、そうした制度の有無も確認しておくと良いでしょう。
施設警備業務検定2級には、学科試験と実技試験があります。それぞれの出題内容は次のとおりです。
【学科試験】
【実技試験】
資格を取得するには、都道府県公安委員会が実施する「警備業務に関する知識および能力に関する検定(直接検定)」に合格するか、一般社団法人 警備員特別講習事業センターが実施する「警備員になろうとする者の講習」を修了する必要があります。
直接検定の受験料は16,000円、講習の受講料は79,200円です(2025年10月時点)。
講習の費用はやや高めですが、一定期間の講習を受けたうえで試験に臨めるため、警備業務の実務経験が少ない方や未経験の方には講習の受講をおすすめします。
一般社団法人 警備員特別講習事業センターが公開している2024年度の「警備員になろうとする者の講習」の合格率は76.3%です。一方、直接検定の合格率については公表されていません。
講習では、試験内容を2日間かけて事前に学べるのに対し、直接検定は試験のみの実施となります。そのため、施設警備に関する知識や実務経験がない方にとっては、合格が難しい傾向にあります。
※参照:一般社団法人 警備員特別講習事業センター(https://www.csst.jp/05/05.html)
施設警備業務検定1級も、2級と同じく学科試験と実技試験があります。
学科試験では、2級の試験範囲に加えて、保安業務や警備業務などのより幅広く深い知識が求められます。5肢択一式の問題が20問出題され、100点満点中90点以上で合格です。
実技試験の内容は、「人や車両の出入管理」「施設の外周巡回」「総合管理システムの操作」「警備計画書・警備指令書の作成」「警察関係機関などへの追加連絡」「警戒棒・警戒杖の操作」の6分野で構成されています。学科試験とは異なり減点方式で採点され、最終的な持ち点が90点以上あれば合格となります。
施設警備業務検定1級を受験するには、2級の資格を取得していることに加え、1年以上の実務経験が必要です。
受験者はすでに一定の知識や経験を持っているため、出題傾向を把握してしっかりと対策すれば、合格の難易度はそれほど高くありません。「警備員になろうとする者の講習」の累計合格率(2006年1月〜2024年3月末)を見ても、6割以上の受験者が合格しています。
※参照:一般社団法人 警備員特別講習事業センター(https://www.csst.jp/05/05.html)