国の非常事態に備えて厳しい訓練を行う自衛隊の仕事。危険を伴う上、強靭な心身と使命感、責任感が必要とされます。「やりがいはあるけれど、体力的にも精神的にもきつい…」と感じる場面も少なくないでしょう。「転職を考えてはいるけれど、辛くきつい仕事はしたくない…」そう考えている方も多いのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのが、警備員への転職です。ここでは、自衛官の転職先として警備員をおすすめする理由や警備員の仕事内容について解説します。
自衛官から警備員への転職と聞くと、ボディーガードや身辺警護、現金輸送時の警備など、「訓練で培った戦闘技術や体力を活かす仕事」とイメージされる方もいるでしょう。
たしかに警備員の中にはそのような分野もありますが、タフな肉体や戦闘技術を要求される場面はそう多くありません。
警備の仕事は警備業法によって分類されており、施設警備や機械警備、雑踏警備、交通誘導など幅広い分野があります。
どの分野の警備もある程度の体力は必要ですが、法定通りの労働時間内で、しっかり休憩を取りながらの勤務です。自衛隊で培ってきた筋力と体力があれば、十分に仕事をこなせます。自衛官から転職しても、辛さを感じず働きやすい点が警備員をおすすめする理由です。
警備員は、文字通り警備に従事する仕事です。人の安全や財産を守る、トラブルに備えて準備する点では自衛官と共通しているので、転職しても違和感を感じにくく、ほかの業種と比較しても仕事に慣れるのも早いでしょう。
警備員の中でも、募集が多く採用の間口が広いのは、工事現場で交通整理を行う「交通誘導」やイベント会場などで人員整理を行う「雑踏警備」の分野です。
どちらも立ちっぱなしのお仕事なので、肉体的負担が全くないわけではありませんが、自衛隊のように毎日ハードな訓練をこなすほどの体力は求められません。毎日の疲労をしっかりと回復しながら、ストレスを感じることなく仕事を続けられます。
働く地域によって細かな違いはありますが、警備員の日給相場は8,000円程度です。月に20日間働けば月収は約16万円で、経験やスキル、年齢を問わずに全国平均水準の給料を得られます。
相場よりも収入アップを目指すためのポイントは2つあります。1つめは資格取得です。資格を取得することで手当が付き、日給の単価が上がったり採用時に奨励金がもらえたりします。
収入を上げるためにもう1つ大事なのは、仕事量の確保です。現場あたりの日給が高くても、シフトに入れる日数が少ないと、安定した収入にはつながりません。しっかりと稼ぎたいなら、まずは警備会社の規模をチェックしましょう。
大きな警備会社ほど多くの案件が集まる傾向にあり、仕事が途切れることなく安定収入につながります。
自衛隊の仕事は、ときに24時間勤務をすることもあり、門限が決まっている部隊もあります。そんな厳しい規律の中では、プライベートな時間を確保するのも簡単ではないでしょう。
警備員になれば、基本的に仕事はシフト制です。警備業務そのものは24時間・365日行われていますが、その現場に入るか休むかは自分次第。
現場ごとに自由にシフト調整がきくので、休みを取りたい日があれば、事前に申し出ることで思い通りの日に休めます。家族や友人の休日に合わせて土日休みにすることもできますし、出かけ先で混雑の少ない平日休みにもできます。長時間労働や残業もないので、ストレスもなく無理なく続けられます。
自衛官の定年は基本的に50代です。どれだけ長く勤めても57歳までしか働くことができません。現役として働ける体力や気力があっても、50代からの再就職はそう簡単ではありません。
若い世代の転職なら未経験でもそう難しくはありませんが、自衛隊で働いた経験しかない人が50歳を過ぎて転職するのは難しいのが現実です。
年金の受給年齢が上がっている今、定年退職してから年金を受け取るまでに3年以上もあります。退職金が出たとしても、年金を受け取るまでの資金としては不安が残るでしょう。
警備員には年齢制限がほとんどありません。警備会社が勤務に支障がないと判断すれば、60歳以上でも採用されます。重い物を持ったり激しい動きをしたりすることもないので、立ちっぱなしの仕事ができるほどの体力があれば、長く勤め続けられます。
厳しい規律に加え、上下関係もはっきりしている自衛隊での仕事。警備員と聞くと、自衛官と同じように上下関係が厳しいのでは、というイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。
実は、警備員には上下関係がほとんどありません。基本的に1つの持ち場に対して1人の警備員が配置されるようになっているので、自分のペースでのびのびと業務時間を過ごせます。余計な気遣いも必要なく、同じシフトに入った同僚との最低限のコミュニケーションでOKです。
集団生活を求められる自衛隊では、近すぎる人間関係にストレスを抱える人もいますが、警備員なら常に同じチームで働くといったケースはほとんどないので、深い人間関係を築く必要もありません。
自衛隊の厳しい上下関係や人間関係に耐えられず転職を考えている方にこそ、警備員への転職をおすすめします。
自衛隊からの転職を考える際、警備員以外にもさまざまな職業が選択肢に挙げられます。ここでは、自衛隊で培ったスキルや経験を活かせる仕事を紹介します。
運送業界では、働き方改革による2024年問題の影響を受け、深刻なトラックドライバー不足が続いています。一方で、ECサイトの普及によってロジスティクスの需要が高まっており、特に大型自動車免許を持つドライバーは、即戦力として歓迎されやすい状況です。
自衛隊には専用の自動車訓練所があり、そこで大型自動車免許を取得できるため、自衛隊からトラックドライバーへの転職は有力な選択肢となります。
営業職は、自社の商品やサービスを消費者や取引先にアピールし、売り込む仕事です。一見、自衛隊とは異なる業種に思えるかもしれませんが、営業の世界には「千三つ(せんみつ)」という言葉があります。これは、「1000件の営業を行って受注できるのは3件のみ」とされるほど、根気と努力が求められる仕事です。
自衛隊では、他者と協力しながら解決策を考える姿勢を学ぶと同時に、目標達成まで諦めない精神力を鍛えられます。そのため、元自衛官と営業職の相性は非常に良いと言えるでしょう。
システムエンジニアは、コンピュータのソフトウェアやアプリケーションのプログラムを設計する専門家です。さまざまなコンピュータ言語を使ってシステムを構築します。
たとえば、自衛隊の通信科に所属していた隊員は、コンピュータ作業やプログラミングに関する知識を持っています。このスキルは、システムエンジニアへの転職において大きな武器となるでしょう。また、事前の仕様や設計に忠実に作業を進められる点も、元自衛官がシステムエンジニアに向いている理由の一つです。
日本の自衛隊の訓練は、世界的に見てもハードとされ、自衛官の中にはプロアスリートに並ぶ身体能力を持つ人もいます。
自衛隊では、体の限界を見極めながらケガを防ぐトレーニング技術も訓練されます。これにより、スポーツインストラクターとして、さまざまな顧客のトレーニングをサポートする仕事にも適性があると考えられます。さらに、すでに鍛え上げられた体が、そのままスポーツインストラクターとしての信頼性につながる点も強みです。
自衛隊では、整理整頓の重要性が日頃から徹底されています。自衛官は、限られた時間で効率的に空間や物品を掃除し、環境を清潔に保つ技術を身につけます。そのため、ビル清掃員は、自衛隊出身者にとって転職先の候補の一つとなるでしょう。
また、ビル清掃員の仕事では、作業内容や場所によって使用する洗剤や手順が定められていることが多いです。あらかじめ決められたルールに従って行動できる元自衛官には、取り組みやすい仕事と言えます。
自衛隊では、さまざまな車両が日常的に使用されており、自衛官は自分の所属する部隊の車両の整備や点検を担当することもあります。この経験を活かして、自動車整備士として転職を目指すことは賢明な選択です。
自衛隊内で車両整備士の資格を取得することが可能であり、資格を取得しておけば、転職活動で有利に働くでしょう。
自衛隊では、災害現場への派遣などを通じて、劣悪な環境でも迅速かつ正確に拠点や設備を整える技術が求められます。そのため、自衛隊では測量や建築技術についても専門的な知識を習得する機会があり、人材が育成されています。
さらに、自衛隊内で建築士や測量士、電気工事主任技術者などの資格を取得することも可能です。これにより、転職先として建築業界との相性は良いと言えます。
自衛隊では、アメリカを始めとする各国の軍隊と共同訓練を行ったり、海外での災害発生時には現地へ派遣されて支援活動に従事したりします。そのため、自衛隊では語学教育が盛んに行われており、グローバル人材として成長できる環境が整っています。
こうした経験を持つ元自衛官は、貿易関連の仕事や通訳などの職業でも活躍できるチャンスがあります。
火災や事故現場など、危険な環境での活動が求められる消防士は、自衛隊で培った技術やノウハウを活かしやすい職業です。
また、国民の安全を守る使命感や奉仕精神は、消防士と自衛官に共通するものです。そのため、消防士も元自衛官にとってはおすすめの職業です。
さらに、消防士と自衛官はどちらも公務員であるため、公務員としての働き方に慣れている点も大きなメリットとなります。
木工とは、木材を加工する技術の総称であり、家を建てる大工から、家具や装飾品を作る工芸士まで、さまざまな職業や働き方が含まれます。
自衛隊には、工作や技能を担当する職能があり、その中で技能士(機械工、仕上工)の資格を取得することもあります。設計図を正確に読み取り、適切な工程を再現できる自衛官は、木工分野の職人としても活躍できるでしょう。
警備員のお仕事に関しては、さまざまな噂が流れています。そこで噂について、真実なのか虚偽なのかを徹底調査。
警備員のお仕事に興味がある方はご参考ください。