「稼ぎが不安定」「体力的にきつい」といったマイナスイメージをもたれやすい交通誘導警備の仕事。しかし、実際は頑張り次第でしっかり稼げるやりがいのある仕事です。
こちらでは交通誘導警備の仕事内容や魅力について紹介します。
交通誘導警備の仕事は、事故が発生する可能性がある工事現場や混雑が予想される商業施設などで、車や歩行者に対して「停止」や「進行」の指示を出し、事故や渋滞の防止を図りながら交通の流れをスムーズにすることです。
警備業法では、交通誘導警備は「2号業務」として位置付けられており、雑踏警備と共に、公共の安全を守る重要な役割を担っています。
道路工事などでの交通誘導は、通行止めや片側通行の区間で、車両や歩行者の誘導を行います。工事現場の前後で交通の流れをコントロールし、安全に迂回路を案内することが主な業務です。
道路工事は交通量が少ない夜間から深夜にかけて行われることが多く、必然的に交通誘導警備の仕事は夜勤が多くなります。
ショッピングモールや大型商業施設の駐車場では、出入りする車両の誘導が主な業務です。車両がスムーズに駐車場に入れるように指示を出し、満車時には入場制限を行って混乱を避けます。
さらに、事故が発生した際には迅速に対応し、各所への通報なども行います。人々が安心してショッピングを楽しめる環境を提供することがこの仕事のやりがいの一つです。
建設工事現場では、多くの車両が出入りします。警備員は、工事現場への出入り口での車両誘導を主な任務としており、歩行者や一般車両の安全を最優先に考えながら、工事に関連する車両の出入りをスムーズにします。
また、大型車両が安全に現場内へ進入できるようにするため、死角に人や障害物がないか確認し、必要に応じてバックでの誘導を行います。敷地内では、作業車両の動きを誘導し、作業員や他の車両との安全距離を確保します。
交通誘導警備は、特別な資格がなくても始められる仕事です。工事現場やイベント会場、駐車場などで、車や歩行者を安全に誘導するのが主な役割ですが、「どんなふうにやるの?」「合図ってたくさん覚えなきゃいけないの?」と不安に感じる方も多いかもしれません。
実際に現場で使う合図は、「停止」「進行」「徐行」といった基本の動作が中心です。たとえば車を止めるときは、誘導灯を水平に構えて頭上に掲げるだけ。ポイントを押さえれば、初心者でもすぐに実践できます。
こちらの記事では、交通誘導警備のやり方や、安全に働くために知っておきたいポイントを紹介しています。
交通誘導と交通整理は、どちらも交通の安全を守るための仕事ですが、その役割や実施する人、場所が異なります。
交通誘導は、主に民間の警備員が工事現場やその周辺で行うもので、車や歩行者の安全を確保することを目的としています。工事現場では、作業員が安全に作業を行うために交通誘導が必要不可欠であり、車両や歩行者の動きを管理し、スムーズな交通の流れを維持します。
一方、交通整理は警察官や交通巡視員が行い、交差点などで信号機の故障時に対応することが多いです。交通整理は交通ルールの遵守を徹底し、緊急事態の際に混乱を防ぐ役割を果たします。
警備員が行う交通誘導には法的な拘束力はありませんが、警察官が行う交通整理には法的な権限があるという点が大きな違いです。交通誘導はドライバーや歩行者に協力を求める形で行われますが、交通整理は道路交通法に基づいて行われるため、違反した場合には罰則が科せられることもあります。
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「jobtag」によると、雑踏・交通誘導警備員の年収は【350.2万円】となっています。
「求人ボックス 給料ナビ」によると、地域ごとの交通誘導警備員の年収は下記の通りでした。
北海道・東北 | 329万円 |
---|---|
関東 | 350万円 |
甲信越・北陸 | 342万円 |
東海 | 379万円 |
関西 | 344万円 |
中国 | 343万円 |
四国 | 343万円 |
九州・沖縄 | 341万円 |
※2024年12月調査時点
※参照元:求人ボックス 給料ナビ 「交通誘導の仕事の年収・時給・給料」(https://xn--pckua2a7gp15o89zb.com/交通誘導の年収・時給)
交通誘導警備員の地域別の年収を見ると、東海地方が379万円で最も高く、次いで関東の350万円が続いています。一方、最も低いのは北海道・東北の329万円ですが、それでも全国的に300万円以上の水準を維持しており、安定した収入が見込める職業であることがわかります。
地域による差は見られるものの、全体的に地方でも比較的高い収入が期待できる点が特徴です。
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「jobtag」によると、雑踏・交通誘導警備員の年齢別の年収は下記の通りでした。
20歳〜24歳 | 332.74万円 |
---|---|
25歳〜29歳 | 347.92万円 |
30歳〜34歳 | 397.66万円 |
35歳~39歳 | 432.47万円 |
40歳〜44歳 | 395.94万円 |
45歳~49歳 | 398.82万円 |
50歳〜54歳 | 373.08万円 |
55歳~59歳 | 344.77万円 |
60歳〜64歳 | 326.21万円 |
65歳〜69歳 | 290.69万円 |
70歳〜 | 269.9万円 |
※2024年12月調査時点
※参照元:厚生労働省 職業情報提供サイトjobtag 「雑踏・交通誘導警備員」(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/475)
雑踏・交通誘導警備員の年齢別の年収を見ると、35歳〜39歳の432.47万円が最も高く、また、20歳から定年までの全ての年代で300万円以上を維持しています。
特に20代前半(20歳〜24歳)の年収332.74万円は、同世代の他職種と比較して高めであり、若い世代にとって魅力的な職業と言えるでしょう。一方で、50代以降は年収が徐々に減少する傾向がありますが、それでも60歳代前半までは300万円を超えています。
ここまで、交通誘導警備の具体的な仕事内容を見てきました。交通誘導警備の仕事はただ単に「停止」や「進行」といった指示を出すだけではありません。人々の安全を守るために必要な存在であり、責任感とやりがいのある仕事です。
とは言っても、「どれぐらい稼げるのか」「働きやすい環境か」といった点も当然気になるところ。ここからは交通誘導警備員として働くメリット・魅力を紹介します。
交通誘導警備の仕事は、18歳以上であれば、高校生を除いて誰でも始められます。年齢の上限は特に設けられておらず、60歳を超えてから新たにこの仕事を始める人も少なくありません。
もちろん、これまでの学歴や経歴も問われません。「交通誘導警備業務2級」などの資格を持っていると日給アップに繋がりますが、ぜったいに必要な資格というわけではなく、未経験でもすぐに始められます。
また、重たい物を持つような力仕事がないため、体力に自信がない方でも無理なく働けるでしょう。こうして見ると、交通誘導警備の仕事は、年齢や性別に縛られることなく、多くの人にとってチャンスがある職種であることがわかります。
全国平均給与水準と同等の給与を、資格や経験を問わずに得ることができるのが、交通誘導警備の大きな強みです。
地域や会社によって異なりますが、日給は8,000円~1万円前後。もっと日給が高い会社や、入社祝金が支給されたり、資格手当がついたりする会社もあります。
また、施設警備と比較して現場の数が多いため、頑張り次第でより多く稼ぐことも可能です。
警備員を募集している会社は、日払い・週払いに対応していることがほとんど。急な出費があっても安心です。
働いたその日のうちに給料を受け取れるので、モチベーションも維持しやすいでしょう。
交通誘導警備の仕事は、働きたい日を申請して、その予定に合わせて警備会社から現場を割り当ててもらう形が一般的です。そのため、自分の都合を優先して柔軟にシフトを組むことが可能です。
週1~2日からOKという会社も多く、Wワークや学生、シニア層にとっても働きやすい環境が整っています。
交通誘導警備の主な現場となる道路工事は、工事の前に警察への申請が必要で、作業可能な時間が決まっています。申請した時間を超えての作業が許されないため、必然的に交通誘導警備員も、予定通りの時間に仕事が終わることになります。
ほとんど残業がないため、プライベートな時間を確保しやすく、ワークライフバランスを重視する人にとって理想的な環境と言えるでしょう。
現場によっては予定より早く作業が終わることもあり、ケースによっては短時間で効率よく収入を得ることも可能です。
交通誘導警備員に向いているのは、まず「早く収入を得たい人」です。短期間の研修後、比較的すぐに現場で働き始めることができるため、手っ取り早く収入を得たい人には最適です。また、仕事のスケジュールが柔軟であることから、短期的に集中的に働きたい人にも向いています。
また、「体力に自信がある人」にも向いています。交通誘導の仕事は長時間立って行うことが多く、体力が求められますので、健康で持久力があることが重要です。季節や天候に関係なく屋外での作業が多いため、暑さや寒さに耐える体力と精神力も求められます。
さらに、「冷静で臨機応変に対応できる人」もこの仕事に適しています。現場ではさまざまな予期せぬ事態が発生することがあり、そのたびに適切な判断を下さなくてはいけません。たとえば、工事の進行状況や交通状況に応じて車両の誘導方法を変えるなど、状況に応じた判断が求められます。問題解決能力や迅速な判断力を持つ人は、この仕事で高く評価されやすいでしょう。
また、チームでの仕事が多いため、「報告・連絡・相談をしっかり行える人」も重要です。現場では一人で対応することは少なく、他の警備員や現場作業員と連携しながら仕事を進めることが求められます。そのため、コミュニケーション能力が高く、積極的に情報共有ができることが大切です。
交通誘導員の仕事には、いくつかのやりがいがあります。まず第一に「社会の一員としての貢献を実感できること」です。道路は社会のインフラの一部であり、それを安全に保つ役割を果たしていることにより、社会全体に貢献しているという誇りを持つことができます。交通誘導がなければ、道路工事の現場での安全が保たれず、ひいては人々の生活にも影響が及びます。そのため、自分の仕事が社会に役立っているという実感が得られやすい仕事です。
また、「努力が報酬に反映される点」もこの仕事の魅力です。警備業界では、頑張りに応じて給料が増えることが多く、やる気があればあるだけ収入アップを期待できます。残業手当や深夜手当なども明確で、努力に対して正当な評価が得やすい環境です。さらに、資格を取得することで収入を増やすことも可能です。たとえば、交通誘導警備業務検定の資格を取得することで、資格手当が支給されたり、より重要な現場での業務を任される機会が増えたりします。
そして、さまざまな現場で働くことができるため、毎日新しい経験を積むことができ、仕事に飽きることがありません。多様な現場での経験を通じて、自分のスキルを磨き、成長していけることも交通誘導員の魅力の一つです。
交通誘導警備員として働く際に必ず資格が必要なわけではありませんが、「交通誘導警備業務検定」などの資格を取得していると、就職が有利になったり、資格手当が支給されたりといったメリットがあります。
交通誘導警備業務検定は、一般道や高速道路での交通誘導スキルを証明する国家資格で、1級と2級の2種類があります。2級は特に制限なく誰でも受験することが可能ですが、1級は上級資格として位置付けられており、2級に合格した後に1年以上の実務経験が必要です
資格取得のためには学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。学科試験では、交通誘導を行う際の基本動作や関連する法令の知識、さらには事故が起きたときの適切な対処方法や警察などへの引き継ぎに関する問題が問われます。一方、実技試験では、実際の交通誘導業務に必要なスキルを評価されます。どちらの試験も100点満点中90点以上を取得することが合格の条件であり、やや高い水準が求められます。
交通誘導警備業務検定を取得することで、就職や転職の際に大きなアピールポイントとなるのはもちろん、資格手当が付与される企業も多く、収入アップにもつながります。交通誘導警備員として安定したキャリアを築きたい、またはスキルアップを目指したい方には、ぜひ資格取得を目指してみてください。
交通誘導警備業務検定など
日給アップにつながる資格
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交通誘導警備員の仕事は、工事現場やイベント会場などで車両や歩行者を安全に誘導することです。1日のスケジュールは現場や勤務形態によって異なりま。ここでは、交通誘導警備員の一般的な日勤の流れを紹介します。
前日までに勤務場所や集合時間が知らされることが多いです。翌日の勤務場所や時間を確認し、必要な装備や持ち物を揃えておきます。
当日は時間に余裕を持って出発します。現場に直行することが多いですが、会社に集合して他の警備員と乗り合わせて向かうケースもあります。
現場に到着したら、現場責任者や警備員同士で打ち合わせを行い、当日の工事内容や交通誘導の方法、安全対策などを確認します。特に、工事車両の出入り時間や通行制限のポイントを共有することが重要です。必要に応じて、誘導灯や無線機などの装備も確認します。
打ち合わせが終わると、いよいよ警備業務の開始です。車両誘導の際は、ドライバーに的確な指示を出し、安全に通行できるように誘導します。また、歩行者に対しても安全に通れるルートを示し、周囲の安全を確保します。
午前中は、通勤・通学の時間帯と重なることが多いため、歩行者の安全確保が特に重要です。作業車両が出入りする際は、周囲に注意を払いながらスムーズに誘導を行います。長時間の立ち仕事となるため、合間に短い休憩を挟みながら業務を進めます。
正午頃になると、昼休憩が取られます。休憩場所は、現場によって異なりますが、車内や仮設の休憩所、近くの公園などで昼食を取ることが多いです。
午後も引き続き、交通誘導を行います。昼過ぎは気温が上がり、集中力が低下しやすい時間帯なので、適宜、水分補給をしながら業務を続けます。
冬場は15時~16時頃になると日が傾き始めるので、誘導灯を点灯するなどの対策を取ります。また、工事の進捗状況に応じて立ち位置を調整し、工事車両の移動がスムーズに進むよう対応します。
業務終了時間が近づくと、現場の片付けを行います。誘導用の標識やコーンを回収し、工事業者や現場監督に最終確認を取ったあと、会社へ終了報告を行います。勤務終了後は、直帰することもあれば、一度会社に戻り報告を行う場合もあります。
夜間の交通誘導も日勤と基本的な流れは変わりませんが、暗い環境での業務となるため、より一層の注意が必要です。ライト付きの誘導灯や反射材付きのベストを活用し、安全を確保しながら業務にあたります。また、夜間は交通量が少なくなる一方で、スピードを出している車が多くなるため、状況判断がより重要になります。
業務時間は通常20:00〜翌5:00頃となり、仮眠時間が設けられることもあるようです。勤務が終了したら、日勤と同様に本社への報告を行い、直帰または会社へ戻ります。
イベント警備員は、コンサートやスポーツ大会、フェスなどのイベント会場で、来場者の案内や誘導を行う仕事です。具体的には、入場ゲートでのチケット確認、観客席や導線の巡回、緊急時の対応などが含まれます。人が多く集まる場での業務が中心となるため、コミュニケーション力や臨機応変な対応が求められます。
ライブやフェス、展示会など多彩なイベントに関われる楽しさがあり、「好きなアーティストのライブを間近で見られた!」なんていうラッキーな体験もあります。
また、単発や短期の仕事が多く、副業やスキマ時間を活用したい人にもおすすめ。未経験でも始めやすく、研修やマニュアルが充実しているため、警備業が初めての方にも向いています。
施設警備員は、商業施設やオフィスビル、病院、ホテルなどの建物内外で警備を行う仕事です。主な業務は「巡回警備」「監視業務」「入退館管理」「防災対応」などがあり、施設によっては夜間の勤務もあります。
施設警備の魅力は、屋内業務が多く、天候に左右されずに働けること。警備の仕事の中でも体力的な負担が少なく、安定した環境で働けるため、長く続けやすいです。警備未経験の方でも、事前の研修を通じてしっかり知識を身につけられるので、安心してスタートできます。また、夜勤のシフトも多いため、深夜手当で効率よく稼ぎたい方にもおすすめです。